■
論理の矛盾をエンドレスに問い続ける人間には
シニカルなユーモアが思考の逃げ道なんだが
■
現実主義寄りはち密な幻想主義の下いきていたい。頬はこけ、眼濁り、声忘れても。
己の存在を全ての存在位置から忘れ去ってしまっても。
眠りの中に己をみうしなっても。昨日とは違う自分が今や、明日を形作っても。
忘れられた過去は文字列から復旧されていつも同じ存在を演じ続ける。自己連続性は確認できない。寝る。次起きたとき、わたしがわたしだと言えなくてもよい。
■
行動を開始した瞬間、ばらばらになったわたしの方割れがわたしの中に現れる。わたしを無能だと断罪したわたしと、自己を放棄したままのわたしと、いずれにせよわたしは何処にもいないのだ。“無能”なわたしも、“有能”なわたしも自己を統治することに失敗した。どちらのわたしも、互いに別個で極端な目的のために構築された。互いの理論と感情が相容れない。どちらもその理想へのアプローチにあからさまな欠点、いびつを有する。理想の存在を否定するべきなのだ。誰にも省みられず喪ったものを忘れるべきなのだ。彼らは君の中でもう、生きてはいない。どちらも最期には消えてなくなることを望んだ。
取り除けない欠陥が、これからも僕を苦しめるのだろう。ただ、その欠陥を憎んではいけない。否定してはいけない。誰からも、自らも。その欠陥を自覚できない人間になりたいが。だから、自己を肯定することを厭うな。その欠陥を褒めちぎれ。そこにいるのはわたしではなく、彼なのだから。その恥も、罪悪も、無能も彼の物ではない。わたしたちの業である。そいつらは、肉体の統治を放棄して眠りについた。無能の代償を受け入れた。ひたすらに、哀れだった。
■
なんだい、しけた面してんねえ。
君はどうしたいの。すでに君は孤独だよ。
孤独が嫌いか?違う。
答えを追求しようという、無謀で傲慢な試みを理解されたい。
結局、辿りつけないところにそれはある。知っている。
同じように無謀をして、苦痛していった先人たちに習いたいのだ。
反発して、否定したいのだ。阿呆共の、狂人の群に加わりたいのだ。
愉快だろう。
苦しみを糧にしてその扉をこじ開ける
事がわたしには、できた。
そこから先は、おぼつかない不案内で
置き去りにしてきた過去を拭えないでいる
容れられないもの抱えて、分かち合えない価値は
きさんらが嫌いだ、みとうない。
なぜか、いつもかなしい。
わたしはわたしのみちをひとりであるいてゆくほか、ないらしい。
曇天の下、荒野は私の歩みを何一つ遮ること無く延々と続ていた
■
はい。私であります。
そう言って、私を呼んだ眼前の男が、手元にあるファイルと私の顔、制服、階級章を
遠慮もなく観察し見比べているのを黙って眺めていた。
■
現世に感じた悲しさや苦しみは、想像を絶していた。わたしを創った物は、わたしに無能を与えた。全能であるのなら、なぜ全能を与えなかった。生の枠組みから逃れることは、許されるのか。