行動を開始した瞬間、ばらばらになったわたしの方割れがわたしの中に現れる。わたしを無能だと断罪したわたしと、自己を放棄したままのわたしと、いずれにせよわたしは何処にもいないのだ。“無能”なわたしも、“有能”なわたしも自己を統治することに失敗した。どちらのわたしも、互いに別個で極端な目的のために構築された。互いの理論と感情が相容れない。どちらもその理想へのアプローチにあからさまな欠点、いびつを有する。理想の存在を否定するべきなのだ。誰にも省みられず喪ったものを忘れるべきなのだ。彼らは君の中でもう、生きてはいない。どちらも最期には消えてなくなることを望んだ。

 取り除けない欠陥が、これからも僕を苦しめるのだろう。ただ、その欠陥を憎んではいけない。否定してはいけない。誰からも、自らも。その欠陥を自覚できない人間になりたいが。だから、自己を肯定することを厭うな。その欠陥を褒めちぎれ。そこにいるのはわたしではなく、彼なのだから。その恥も、罪悪も、無能も彼の物ではない。わたしたちの業である。そいつらは、肉体の統治を放棄して眠りについた。無能の代償を受け入れた。ひたすらに、哀れだった。

 

頭ンなかで愚にもつかない同じものがグルグル回ってやがる。無駄にカロリーをつかうし生産性もないのでとっとと離脱しよう。えいがえいが

わらえばいい、それだけのことができないのはなんでだ酒え飲みながらえいがでもなんでもくだらないことおやって 皮肉に皮肉を重ねたジョークを厳粛かつ厳かに、にやりと嗤って また酒を飲めばいい 次は

 

だがね、一番やっかいなのは少しイカレたユーモアを聞いて顔おしかめちまう奴らだよう。いーじゃないよのさ明日喰う飯がないことに愉快してもよ。

なんだい、しけた面してんねえ。

君はどうしたいの。すでに君は孤独だよ。

 

孤独が嫌いか?違う。

答えを追求しようという、無謀で傲慢な試みを理解されたい。

結局、辿りつけないところにそれはある。知っている。

同じように無謀をして、苦痛していった先人たちに習いたいのだ。

反発して、否定したいのだ。阿呆共の、狂人の群に加わりたいのだ。

愉快だろう。

 

苦しみを糧にしてその扉をこじ開ける

事がわたしには、できた。

そこから先は、おぼつかない不案内で

置き去りにしてきた過去を拭えないでいる

 

容れられないもの抱えて、分かち合えない価値は

 

きさんらが嫌いだ、みとうない。

 

なぜか、いつもかなしい。

わたしはわたしのみちをひとりであるいてゆくほか、ないらしい。

 

曇天の下、荒野は私の歩みを何一つ遮ること無く延々と続ていた

はい。私であります。
そう言って、私を呼んだ眼前の男が、手元にあるファイルと私の顔、制服、階級章を
遠慮もなく観察し見比べているのを黙って眺めていた。

現世に感じた悲しさや苦しみは、想像を絶していた。わたしを創った物は、わたしに無能を与えた。全能であるのなら、なぜ全能を与えなかった。生の枠組みから逃れることは、許されるのか。

あいつの幻想主義もおいらの現実主義もみんなみーんな最期は集まるところへ集まって行く。
恐ろしさに慄いても、無感動にひたと見詰めても、なにかがそれらを突き動かし、集まり、形成する。

おれは人生を、こんなにも、愛してるじゃあないか。なぜ、おれを恨む、なぜ、おれを
ではなぜ俺を消してしまわない?こんなにも愛して、憎んでいるのにどうして、手が届かない?つらい、つらいよ。憎い。憎い。どうしてだ。

隠れているのなら、その姿をみせてくれ。

わたしはこんなにも深く、おまえを愛した。だから、もう、疲れてしまったよ。

あるいは、すべて幻想か。

人はむやみやたらに深淵へ怨嗟、憎悪、哀愁、熱情、を投げつけるが、深淵はまったく意に介さない。

だから、もう何も見ない。耳と目を閉じ、口をつぐんで。
ただ、タイプする。この激情を閉ざし、固めて、未来の私へつぐ。
そうでなければ、それだけが、希望の一縷となりて、いつか誰かがつぐんだ口を再び開くまで。
いつもいつも、いつまでもそこにあれ。わたしの代わりに生を持て。わたしの苦しみもおまえが持て。
わたしのすべてを注ぐから。うらぎってくれるなよ。もっともおまえにはなからその権限もない。
保持して。記憶せよ。未来永劫に訴えて、問い続けるべし。
わたしの生は、もうお終いだよ。ただの道化師さ。感情を持たないただの道化だ。

 今日はひとつ、長いモノを書いてみよう。なんでかな、話し相手がいない。かといって読むことにも没頭できない。――私小説の体裁で、鬱憤を紛らわしてみようか。

 

 僕は、いま。たとえば肩書きが欲しい。手元にある文庫本の中身をから、“軍医殿は、姓名、戸籍、資格などと共に、人格まで私に譲渡…”という一文を拝借する。はたして、かの軍医殿のように、ひと様に譲渡できるようなものがない。いや、この